誰そ彼?逢う魔が時に薬缶吊る

By matchy, 2009年7月20日


暑いの蒸すのと言っても、さっと雨が降ったり日が落ちたりすると、すっと涼しくなるのが信州の良いところ。

それでも日が落ちると少々さびしい気分になりまして、すれ違う知り合いに声をかけたくなります。

「足元に気をつけて」
「ねずみにひかれないようにね」(….ねずみ??)

でも黄昏(たそがれ)時なので、だんだん相手の顔が見えなくなります。
あれ?さっきの誰だっけ?

誰そ彼?

「誰そ彼」と書いても「たそがれ」なんだそうです。
誰そ彼時は逢う魔が時(おうまがどき)でもありまして、声をかけてくれたあのひとは、実は気のいい妖怪だったのかもしれません。

長野地域を代表する妖怪に「ヤカンヅル」というのがおりまして。
今年公開された「劇場版ゲゲゲの鬼太郎」にも登場したそうです。私は残念ながら観ていませんが…。
森や林をひとりで歩いていると、突然ヤカンがするするっと吊り下がってくる…。
まぁ諸説あるんですが、それだけなんだそうです

妖怪が実際にいるかどうかはちょっと置いておきまして。
「幽霊の正体見たり枯れ尾花」などと申します。

幽霊は誤認だったとしても、枯れ尾花を見て、それを幽霊だと思った。つまり、幽霊と勘違いする「何か」を見ているのでしょう。

ヤカンヅルを見た方は、いったい何を見たんでしょうねぇ。
まさか森の中に、ホントにヤカンかぶら下がってたんでしょうか?

誰そ彼時に、冷たく冷やした信州のお酒でも呑みながら、そんな怪異に思いをはせてみるのも一興かもしれません。