今は見られない?親孝行 <秩父札所 1>

By hebizo, 2014年11月17日


秩父三十四箇所の話を続けます。しばらく書かないうちに、今年の十二年に一度の御開帳も、11月18日をもって最終日となります。その後はご本尊の扉が閉まり祈願塔がなくなるようです。諸々のイベントも終了し鎮まっていきます。でも巡礼路や境内のたたずまいや、季節の花々はそのままなので訪れる価値は変わらないでしょう。

秩父の札所は決して広大ではないのですが、1番から30番までは、秩父鉄道や西武鉄道の沿線からそれほど離れていないところにあります。31~34番は中心街からは相当距離があるうえ分散しています。徒歩で回るには30番までは三日、34番までは五日かかりますが、電車バスや、車、自転車などを使って短縮は可能です。車が便利ですが、一日ではむつかしいでしょう。私は8月に30番まで徒歩で三日、9月に31~34番を貸自転車で一日で回りました。

第33番札所の菊水寺には印象的な二つの絵図が掛かっています。その一つが「孝行和讃」です。

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孝行和讃の絵の部分は、こういう絵です。

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妙齢の婦人が胸をはだけて、そこにむさぼりつく老人、足下に這う赤子。どうみても淫猥な絵に見えます。このモチーフは他でも見ることができます。次は長野県松本市里山辺の須々岐水(すすきがわ)神社のお船祭りで使われる、湯の原町のお船(山車のこと)の彫刻です。

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もう一つ、シンガポールのハウパーヴィラ(旧称タイガーバームガーデン)。ここは中華地獄・極楽テーマパークです。露骨さを増していますが、東洋ではメジャーなモチーフ「二十四孝」のひとつ「唐夫人」です。

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唐夫人は、唐という姓の家から来た嫁のことですが、姑が高齢で歯がなくなり、数年に渡ってその乳を姑に与え続けて養った。という姑に対する親孝行を讃えたものです。二十四孝は中国に伝わる孝行伝をセレクトしたもので、江戸時代には教科書のように広められたものです。それが絵入りの書物や、神社仏閣の絵や彫刻の主題として日本全国に存在しているようです。

<つづく>

【今週読んだ本】

諸星大二郎『暗黒神話』と古代史の旅 (別冊太陽 太陽の地図帖 27)

諸星大二郎は、伝奇・SF漫画家です。その作品「暗黒神話」は1976年の作品で、全1巻の単行本になっています。2014年4月より、「暗黒神話 完全版」が画楽.magで連載開始されたことで出版されたガイドムック本です。ヤマトタケル伝説を中軸に、古代日本の各神話や遺跡を取り込んだ作品の足跡を実際に追った本です。何よりスタートは「諏訪・茅野」。尖石縄文考古館で知り合った老人に連れられ、蓼科山の人穴へ誘われるところから始まります。そういう漫画の背景になった日本全国のまさに「聖地」を紹介したガイド本です。


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