一年を二十四に分割してその季節を表している二十四節気。
6月に入ってまたひとつ季節が進み、今年は6月6日から「芒種」に入ります。
芒種とは、“芒(のぎ/イネ科の植物の実のトゲトゲした部分)を持った植物の種をまく頃”という意味だそうで、次の二十四節気である「夏至」の前日まで続きます。
今年の夏至は6月22日、夏至も過ぎればいよいよ夏本番ですね!
ということで今回は、昨年の夏至に善光寺に行った時の体験から、
お戒壇巡りについて書いて行こうと思います。
“意外と知らない”かもしれない要素は終盤で出てきます。
知らない方もいるかもしれないので、
善光寺本堂の構造とお戒壇巡りについてちょっとご説明します。
本堂の中には、内陣と呼ばれる約百五十畳敷きの空間があり、その畳敷きの間で
参拝することを内陣参拝、それより外の板敷きの間から参拝するのを外陣参拝と呼びます。ご本尊は中央よりちょっと左寄りの奥、内陣のさらに奥の内々陣に祀られています。
↓図にするとまぁだいたいこんな感じ
さて、この図の★で表記している箇所、ここが「お戒壇巡り」の出入口です。
(本堂の内々陣右奥)
お戒壇巡りとは、床下の真っ暗な回廊をぐるっと右回りに巡って、ご本尊のちょうど真下あたりにある「極楽の錠前」に触れ、極楽往生のお約束をいただくことです。
お戒壇巡りは内陣参拝とセットのようになっていて、内陣券(大人・大学生500円、高校生200円、小中学生50円、未就学児無料)が必要です。
内陣参拝をした後、外に出る前にお戒壇巡りをするという流れになっています。
内陣参拝を終えると、みなさんお戒壇巡りに進みます。
入口の階段を降りると、徐々に薄暗くなっていきます。
お戒壇巡りの回廊には灯りは一切ありません。
階段を降りてから数歩進めば辺りはもう本当に真っ暗!
日の届かない、灯りもない、本当の本当に真っ暗な道のりです。
基本的に皆さん右側の壁を手で確認しながら進みますが、回廊内に他の方もいる時なら、何より頼りになるのが“前を行く人の声”と“前の人の背中”。
本当は、念仏を唱えるか、おしゃべりせずに進むのが良いようなのですが、実際のところは皆さん結構しゃべってます。
というか、真っ暗で本当に何も見えないし道も分からずに進むので、声を出していないと不安に駆られるのかも…。
特に混雑している時は、実にバラエティー豊かなセリフが聞こえてきます。
真っ暗な中では人の気配を感じられる唯一の情報が音なので、声が聞こえるとなんとなく救われます。
道案内タイプや鍵ここですタイプの声にも、その方の親切心に温かさを感じたりして。
集中したい方にとってはうるさくて仕方がないのかもしれませんが…(^^;)
前を行く家族や友人の背中に触れたり服をつかむとこれもまた安心。
細い1本道なので迷子になったりはぐれるようなことは考えにくいですが、前の人に触れているだけで安心感があるのです。
さて、そんなわけで、自力だったり連携だったりで無事に鍵に触れた後は、少し進んだところから徐々に明るくなってきます。
出口まで来ると、もうすっかり辺りは明るくて
階段をあがればお戒壇巡り終了となります。
本来は極楽の錠前に触れることがお戒壇巡りの目的ですが、
光にあふれた普段の生活ではまず無いような本当の暗さを体感することで、改めて光のありがたさ、光を感じることができるありがたさ、というものに気付かされます。
短い時間の中で、極楽往生のお約束だけではなくて、感じる・考える機会もいただける。それがお戒壇巡りかなと思います。
ここまで散々真っ暗だ光がまぶしいだと書いておいて、後出しですみません。
昨年の6月に、内陣参拝とお戒壇巡りに行きました。
その日はちょうど夏至で、参拝したのは正午頃のことでした。
いつものように入口の階段を下り、お戒壇巡りの暗い回廊へ向かうと…
この時は、お戒壇巡りの回廊の奥の方まで太陽の光が差し込んでいて、中がうっすら明るかったんです!!
それもなんと、最初に右に曲がる角の突き当りの壁まで見えるんです!
階段降りて数歩で真っ暗が当たり前だと思っていたので、これは衝撃。
夏至の正午といえば、1年で1番太陽が高い位置にいる時間。
もしかしてそういう風に計算されて建立された…??
と思いましたが、調べてみてもそんな情報はどこにも出ていないので、ただの偶然かもしれません。
いやはや驚きました。
御開帳期間中は、長蛇の列になっていた内陣参拝・お戒壇巡り。混んでいて諦めた…という方もいらっしゃるかと。
御開帳は終わりましたが、回向柱は今月30日まで建っており、夜のライトアップも29日まで延長することが決まったそうです!
前立本尊とつながっていた「善の綱」はもう外されておりますが、御開帳の名残を楽しみつつ、内陣参拝・お戒壇巡りに行かれてみてはいかがでしょうか?
ご興味ある方は夏至前後の正午頃に、是非!
ながのモールで善光寺といえば、米屋豊三郎さんが販売している「善光寺縁起そば」。
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冷たい麺類が美味しくなるこれからの季節に、いかがですか?
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