今では犯罪?親孝行 <秩父札所 3>

By hebizo, 2014年11月23日


もう一つ「郭巨(かくきょ)」を紹介します。郭巨は二十四孝のなかでも広く知られ、絵画、彫刻、芝居、落語などにも姿を残しています。私が初めてこの名を知ったのは、京都・祇園祭です。

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「郭巨山」は祇園祭で曳く山鉾のひとつです。大きい方が「鉾(ほこ)」で、小さい方が「山(やま)」です。山鉾の上には和漢の故事や能楽にちなんだ像が、御神体として飾られたり祀られたりしています。

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郭巨山の上には、鍬(くわ)を持った男と、子供がひとり乗っています。郭巨と彼の3歳になる男の子です。真ん中に金色のお釜がありますが、郭巨の故事では、こういう絵が多く描かれています。

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妻と子供の横で、鍬で地面を掘る郭巨が、黄金の釜を掘り当てる、という絵です。郭巨は貧しく、老母を養っていましたが、妻に子供が生まれ、ますます困窮していきました。老母が孫に自分の食べ物まで与えているのを見て「子供はまた生むことができるが、母は何者にも代え難い」と、子供を埋めて殺してしまおうと思いつきました。ところが穴を掘っていると黄金の釜が顕われ、そこには「天が孝行者の郭巨にこれを遣わす」のメッセージが。

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現在、だれも同意し難いと思います。男の貧乏のせいで、老母は自分のために可愛い孫が、妻は姑のために大事な息子が殺され、その後うまくやっていけるのでしょうか。福沢諭吉の「学問のすすめ」において「父母を養うべき働(はたらき)もなく、途方に暮れて罪もなき子を生きながら穴に埋めんとするその心は、鬼とも云(い)うべし蛇とも云うべし」とあからさまに批判されているほどです。でも「郭巨の釜掘り」伝説として人気があるのは、「一発当てた」感がハンパないからでしょう。

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(神に試され、一人息子イサクを犠牲に捧げるアブラハムと、それを押し留める天使)

<つづく>

【今週読んだ本】

マイケル=サンデル 「これからの正義の話をしよう」

2004年のハリケーンで、オークランドのガソリンスタンドでは1袋2ドルの氷が10ドルで売られ、250ドルの家庭用発電機は2000ドルになった。これは人の弱みにつけこんだ「便乗」値上げだと批判が起こる一方で、価格とは需要と供給によって決まるものだから自由市場への干渉は行うべきではないという意見もある。果してどうすることが正しいのだろうか。などといった「究極の選択」から「正義」をあぶりだすベストセラーです。「郭巨の釜掘り」を、埋められる子供の立場からぜひ分析してほしいと思います。

 


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